Column

日本の長寿ベンチャー、引き継ぐのは挑戦のバトン

2016.11.22
同族経営後継社長

いやいや、流れが来てますよ、間違いない。これまで「排他的、利己的、ボンボン社長」などなど、ネガティブに語られることが多かった「同族経営」。これまで起業家礼賛一辺倒だったメディア各社が最近になって後継経営者の活躍を取り上げてくれるようになってきました。

とかく日本では、起業家の輩出が少ないことが問題視されます。いや、確かに起業も大事。国が起業創業と連呼するのもわかる。でも!!!日本人は、ゼロから立ち上げるより、1を2にしたり、10にしたり100にしたりするほうが断然得意だと思うんです。実際、後継社長が先代から引き継いだ経営資源をベースに生み出したイノベーションは数知れず。

それに長寿企業のほうが、時代の変化に柔軟だし、新しいチャレンジに積極的。長い歴史の中で、「挑戦なくして企業の存続なし」ということが代々語り継がれている。とはいえ、企業存続を危ぶませるほどの無茶な挑戦をしないのもこれまた長寿企業の特長。

現状の経営資源を徹底的に検証しながら、自社の強みをベースに手堅い作戦で勝負して得点を重ねる。資源のない小さな島国が経済大国としてこれまでやって来られた理由がここにあるような気がしてなりません。

事業が成長したら会社をモノのように売却しちゃう諸外国と違って、「企業存続こそ経営者の使命」と考える経営者が多いのが日本。

「じいさんが苦労してつくった会社を俺の代で潰すわけにいかん」
「会社をいい状態にして息子に引き継ぎたい」

家族だからこそ生まれる覚悟をベースに、バトンを繋いだ後継社長たちが「起業家のごとく」挑戦したことで、どれだけ多くの製品や技術が生み出されてきたことか。

シリコンバレーのベンチャー企業に負けてへんで。海外メディアが「日本のベンチャーは長寿企業」特集を組む日も近いぞ!NIPPONのファミリービジネス、バンザーイ!

(山野千枝)

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profile

山野 千枝

代表取締役

山野 千枝CHIE YAMANO

1969年生まれ、岡山県出身。専門はファミリービジネスの事業承継、広報ブランディング。1991年関西学院大学卒。ベンチャー企業、コンサルティング会社を経て、大阪市経済戦略局の中小企業支援拠点「大阪産業創造館 」の創業メンバーとして2000年より参画。広報主幹、事業部長などを歴任。また2001年の創刊以来、ビジネス情報紙「Bplatz」の編集長として、多くの経営者取材に携わる。関西圏の大学で、親が商売を営む学生を対象に「ガチンコ後継者ゼミ」を主宰し、家業で新たなビジネスに挑戦する「ベンチャー型事業承継」を提唱。

また、近畿経済産業局のベンチャーエコシステム構築事業「Next Innovation」では、全国で初めてベンチャー政策の対象に中小企業の若手後継者を定めたアクションプランを提言し話題となる。2018年には、この活動を全国に広げるため、若手アトツギ特化型ベンチャー支援団体「一般社団法人ベンチャー型事業承継」を設立、代表理事に就任した。

「存続力は競争力」をテーマに講演実績も多数。アセアンの経営者を対象に日本の長寿企業文化についての研修などを通して、永続経営の価値を広く伝えている。

2016年には、会社の歴史を活用した企業ブランディング、採用メディアや社史制作を手掛ける株式会社千年治商店を開業。

◇その他の役職
一般社団法人ベンチャー型事業承継 代表理事
大阪産業創造館・大阪イノベーションハブ チーフプロデューサー
大阪市立大学 学長特別顧問
公財)大阪市都市型産業振興センター 広報担当フェロー
経済産業省 近畿経済産業局 「Next Innovation」事務局 プロジェクトリーダー
経済産業省 ファミリービジネス検討会委員
関西大学「後継者ゼミ」 非常勤講師
マイクロ波化学株式会社 広報顧問

関西学院大学(2011~17年)・甲南大学(2012~14年)非常勤講師