Column

【書評】見えてる未来を自分で変えるために読むべき一冊

2016.11.26
未来歴史

「若者よ アジアのウミガメになれ 講演録」 加藤順彦氏 (著)

umigame

結論から言います。
今、高校生、大学生の子どもがいる親御さんは、この本をぜひ彼らに薦めてください。そして、今、高校生・大学生の学生諸君は、この本をぜひ読んでください。

 

著者の加藤さんは、関西学院大学の同窓で、学年も1年先輩。まさに同じ時代を生きてきたわけですが、学生時代も社会人になってからも、加藤さんと私の生き方は全く違う。身を置いていた環境、見えていた世界は、もう全然違います。

 

私たちの学生時代はバブルまっただ中。みんなサークルや合コンで浮かれてるんだけど、本当に夢中になれるものを見つけられなくて拠り所がなさそうな学生で溢れていました。

バブルがはじけた後は、今度は世の中が急にリスクや不安ばかりを煽るようになり、大企業志向、安定志向が世の潮流。自分の夢を声高に話すこともなんとなく憚れる時代だったかもしれません。

そんな中で学生起業家として身を起こして以来、経営者として酸いも甘いも経験し、今では、さまざまなスタートアップに携わりながら、海外から日本の若者に向けて揺さぶりをかけるために活動をされている加藤さん。実は私とも意外な接点があるのです。

 

私は、関西圏の大学で「ガチンコ後継者ゼミ」という授業をやっています。

 

「家業を継ぐなら受け身じゃダメ、起業家のつもりで新しいことに挑戦しよう」
「家業を捨ててまで、やりたいことがあるならその道でモーレツに頑張れ」

 

家業を継ぐかもしれない若者にこんなメッセージを伝えることが目的の講義なんですが、数年前に加藤さんに直談判して(笑)以来、毎年一コマ登壇してもらっています。

一見コワモテ(スイマセン!)で、しかも学生諸君からすれば「スーパーおっさん」(スイマセン!!!)の加藤さんの話に、最初は「しれっと」聞いていた彼らが見る見るうちに引き込まれていくのです。

私が、加藤さんから学生にもっとも伝えてほしいこと。それは、本書にも最初の章に書かれている「環境が人間を創る」ということです。

 

「居心地のいい場所から一歩外に踏み出せ。外の世界で、自分自身で風を読む力を身につけるんだ。そこから見える家業の姿は違うかもしれない。未知の世界に身を置いてみることから、すべてが動き出すんだ」

 

親が商売をしている学生が置かれている環境はちょっと特殊です。
進みたい道を自由に選ぶことに少なからず躊躇があるし、未来が見えている気になっている学生も多い。近い将来降りかかるであろう、継ぐ継がないの決断も含め、ちょっとした重圧を背負っている彼らだからこそ、加藤さんのメッセージは強烈に響くようです。

 

「若者よ アジアのウミガメになれ 講演録」
この本は、起業家、後継者予備軍のみならず、加藤さんの若い世代への全身全霊のエールが詰まった一冊です。

私の学生時代には、こんなパンクなことを言ってくれる「スーパーおっさん」はいなかった。いま47歳の私が自分の人生を振り返ってみると、「一歩踏み出すチャンス」を何度か逸しました。誰かに止められたわけではなく、うやむやにしてしまったのは結局、自分自身だった。だから加藤さんの話は、学生の傍らで聞いている47歳のオバハンの心にも沁みるのです。

 

夢だけでは食っていけない。
でも夢がなくては生きていけない。

若い時は夢を語り合える人たちと付き合ってほしい。
そして、胸を張って自分の夢を語ってほしい。

 

加藤さんの講義を聞いてから、私も学生にいつも問いかけています。

「みんな、夢を語ってる?」

 

◇「若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録」著:加藤 順彦/出版社: ゴマブックス

◇「若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録」お試し版(冒頭部分が無料で読めます)

profile

山野 千枝

代表取締役

山野 千枝CHIE YAMANO

1969年生まれ、岡山県出身。専門はファミリービジネスの事業承継、広報ブランディング。1991年関西学院大学卒。ベンチャー企業、コンサルティング会社を経て、大阪市経済戦略局の中小企業支援拠点「大阪産業創造館 」の創業メンバーとして2000年より参画。広報主幹、事業部長などを歴任。また2001年の創刊以来、ビジネス情報紙「Bplatz」の編集長として、多くの経営者取材に携わる。関西圏の大学で、親が商売を営む学生を対象に「ガチンコ後継者ゼミ」を主宰し、家業で新たなビジネスに挑戦する「ベンチャー型事業承継」を提唱。

また、近畿経済産業局のベンチャーエコシステム構築事業「Next Innovation」では、全国で初めてベンチャー政策の対象に中小企業の若手後継者を定めたアクションプランを提言し話題となる。2018年には、この活動を全国に広げるため、若手アトツギ特化型ベンチャー支援団体「一般社団法人ベンチャー型事業承継」を設立、代表理事に就任した。

「存続力は競争力」をテーマに講演実績も多数。アセアンの経営者を対象に日本の長寿企業文化についての研修などを通して、永続経営の価値を広く伝えている。

2016年には、会社の歴史を活用した企業ブランディング、採用メディアや社史制作を手掛ける株式会社千年治商店を開業。

◇その他の役職
一般社団法人ベンチャー型事業承継 代表理事
大阪産業創造館・大阪イノベーションハブ チーフプロデューサー
大阪市立大学 学長特別顧問
公財)大阪市都市型産業振興センター 広報担当フェロー
経済産業省 近畿経済産業局 「Next Innovation」事務局 プロジェクトリーダー
経済産業省 ファミリービジネス検討会委員
関西大学「後継者ゼミ」 非常勤講師
マイクロ波化学株式会社 広報顧問

関西学院大学(2011~17年)・甲南大学(2012~14年)非常勤講師